姿勢の理論1 姿勢が崩れるメカニズム

人間は二足歩行をして、一番重たい頭を上にのせバランスを保ちながら歩いています。

日常のちょっとした癖や、前後左右の筋肉のバランスで、姿勢に変化が出てきます。

少しの姿勢の変化であれば、その人のパーソナリティや特徴を表しますが、

加齢による変化により、痛みの原因にもなりうるので注意が必要です。


姿勢の理論1 姿勢が崩れるメカニズムを知りましょう。

まず加齢による姿勢の変化はどなたでも気になるところでしょう。

50代、60代、70代、と徐々に身長が縮んでしまうことはよくあります。

そんな高齢者の方が「骨が弱くなってしまって姿勢が崩れた」と勘違いして、

骨粗しょう症のお薬ばかりを飲んでいるのをよく見かけます。

身長が縮むのは骨が弱くなったせいでしょうか?

いいえ違います。よくみてみると肋骨と骨盤の間の距離が縮んでいるのがわかります。


人間の姿勢は骨だけが支えているものではありません。

胸郭には肺や心臓が入っていて、胸郭と内臓の入っている腹腔の間は横隔膜という

呼吸を司る筋肉で隔てられています。

つまり人間の体幹部は横隔膜によって二階建ての構造になっているのです。

そしてこの横隔膜は背骨について大腰筋という股関節を曲げる筋肉ともつながっています。


一方腹腔をみると内臓がしっかりと入っていてそれを包むように

腹横筋、内腹斜筋、腹直筋、外腹斜筋に覆われて支えられています。

後ろから見ると背骨を支える脊柱起立筋や背筋が体を支えています。

実は、人間の姿勢は骨だけでなく、胸郭の中にある肺や横隔膜、内臓やそれを取り囲む筋肉が働いて支えられているのです。


さて、ではどのような筋肉が落ちて姿勢が崩れていくのでしょうか?

姿勢を保つ筋肉、「姿勢筋」は、重力に抗う「抗重力筋」とも呼ばれますが、

例えば、腸腰筋が弱くなると骨盤が後傾し、

体を支える大腿四頭筋や大臀筋が落ちると膝が曲がります。

また、連鎖的にバランスを取ろうと猫背姿勢になって腹筋や脊柱起立筋も落ちていきます。そしていつの間にか老け込んだになってしまいます。

(特に高齢者で日常生活に支障が出るほど筋肉が落ちた状態をサルコペニアとも呼びますが、サルコペニアでも姿勢を保つ筋肉から落ちていくことが知られています。)

筋肉は何歳からでも鍛えられます。

逆に言えば、これらの筋肉を鍛えることで、何歳でも良い姿勢になることはできるのです。



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